フレンチヴィンテージを語る上で欠かせないアイテムの一つとして君臨する「M47」。
今回は筆者の愛用している前期モデルの魅力を写真多めで紹介していきたいと思う。
フランス軍M47カーゴパンツとは
そもそもM47ってなんぞやというところから簡単に説明すると、1947年からフランス軍で正式採用されていたカーゴパンツのこと。
採用されていたのは60年代までとされており、この間に大きな仕様変更が一度されている。これを 境に前期モデル・後期モデルなどと界隈では呼び分けがされていたりする。
前期モデルと後期モデルの違いについてだが、個人的には全くの別物だと思うほどに異なっている。
生地・色・シルエットとパンツの見た目を決めるポイントがすべて変更されているのである。
まず生地だが、前期は厚手のコットンツイル生地であるのに対し、後期はややライトなヘリンボーンツイル地へ変更されている。
色も前期は茶系のオリーブに対し、後期は緑要素が強いものに。
またシルエットは前期がズドンと落ちるワイドストレートとなっており、その分迫力もかなりのもの。
それに対し後期のシルエットは膝下から軽くテーパードがかかった比較的きれいなシルエットとなっている。
あとはウエストボタンについても、前期が2つで後期が一つなんていう細かい違いもあったりする。
上記が一般的な前期後期の違いだが、例外もある。
ちょうど過渡期のものなどはボタンが一つしかない前期モデルがったり、2つある後期モデルがあったりととても奥が深いのである。
筆者が愛用しているのは前期モデル。デッドストックで購入し大切に履いているが、この秋冬ではあまり履けていなかった。
というのも、もともとミリタリーが好きということもあり、アウターやトップス類もおなじような軍モノやオリーブ系のアイテムが多いのなんの・・・。
ミリタリーファッションが輝くのは、ドレス要素などとミックスしたときだと個人的には思っているため、冬場アウターをミリタリーに全振りしていた筆者に「パンツもミリタリー」という選択肢が残されていなかった・・・。
今回この記事を書こうと思ったのももう春だしこれから履けるぞ!と思ったこともきっかけだったりする。
前期モデルを選ぶ理由
筆者がなぜ前期モデルを愛用しているかというと、なんといってもシルエットがより太いものが好みだというのと
前期の枯れ木のような淡いオリーブの虜になってしまったためである。
後期の生地はヘリンボーンということもあり、表情が非常に魅力的であるのはたしかにそうなのだが、如何せん色が濃ゆい。しっかりと緑なのである。
カーゴパンツは複数の大きめポケットだったり シルエットが太いという点から
完全にカジュアルパンツであることは明らかだが
コーディネートをカジュアルに寄せすぎてしまうとどうしても子どもっぽさがでてしまう。
しかしこのM47前期は大人っぽい絶妙なオリーブ色に加え、ステッチも生地と同じ色に合わせることで非常に上品なカーゴパンツに見えるのである。
このあたりさすがフランスだなあと惚れ惚れしてしまう。
しかしここは完全に好みの問題であり、より緑感の強いオリーブが好きだという人もいればきれいなシルエットに惹かれる人もいるのも事実。
今はコロナの関係もあるので難しいかもしれないが、是非古着屋等で実物を見ていただきたい。
前期後期という呼び分けをしているが、別物といって良いほどそれぞれの良さがあるのは間違いない。
今日では流通数は年代がより古い前期の方が少なく、貴重になってきているよう。
ちなみに生地の厚さも異なる。
前期のコットンツイルはけっこう厚手なため、真夏での着用はけっこう修行かも。
オールシーズンという意味では後期のほうがオールラウンドに活躍できるのかもしれない(しらんけど)
サイズについて
フランス軍のサイズ表記というのは独特で、以下のM52チノの記事でも紹介したが
十の位がレングス、一の位がウエストとなっている。
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筆者が履いているのは「33」サイズなのでレングス・ウエストともに3ということになる。
ウエスト3というのはデッドから乾燥機で乾燥させて大体84cm程度。インチにして体感32インチ程度だろうか。
乾燥後でもウエストは結構ゆとりがあるが、ベルトで絞ることで非常にかっこいいシルエットが生まれる。またウエストが2のものや1のものは個体数が極端に少なく、その分価格がとんでもないことに。
そしてレングスについては実は裾上げをおこなっている。
筆者のマイサイズは23サイズだったのだが、33との価格差がかなり開いており
であれば33を買って裾上げをすればよいではないかと考えた次第。
こちらが裾上げ前のワンロールして履いていた写真。
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そしてこちらが裾上げ後の写真。ジャストレングスで履けるようになった。歓喜。
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M47は裾にベルトがついているため、裾上げが一筋縄ではいかないと思いがちだが(実際に筆者はそう思っていた)
大体どこのお店でも引き受けてくれると思う。実際に今回お願いしたお店はリフォーム専門店ではなくクリーニング屋だったが、なんなく引き受けてくれた。
価格は約4000円でできたため、23サイズを購入するよりもかなりリーズナブルにマイサイズをゲットできたことになる。
ウエストの違いは全体のシルエットにも影響するので悩みどころではあるが、レングスはあとから切ればどうにでもなる部分でもあるため
妥協して長いレングスで購入してロールアップして履いている人は、近くのお直しやさんに相談していると幸せになれるかもしれない。
ただヴィンテージアイテムになるので、裾上げを行うことによって完全オリジナルのまま!というわけではなくなる部分もあるので、
この部分はどのくらいこだわるかで価値観は変わってくる部分だと思う。
個人的にはレングスの調整くらいはしてしまってよいのではないかと考えている。
まとめ:年代は好み レングスはあとからどうにでもなる
今回は筆者愛用のM47を紹介しながらモデルの違いやサイズ感について紹介してみた。
まとめると、前期・後期のモデル差はシルエット・素材など多くの場所が異なっており、捉え方によっては別物とも見えるので
先述した違いを参考に後悔しないモデルを選んでいただければと思う。
しかしサイズについては、マイサイズを法外な値段で購入せずとも、レングスはあとからどうにでもなるため
大きめを購入して裾上げすることで、総出費を抑えることができるというのがポイント。
ちなみにM52のときもご紹介したが、ネットだと「WAIPER」さんで相場よりも安く買うことが可能となっている。
サイズも幅広くそろっているので、在庫があれば非常に狙い目ではないだろうか。
2022年9月21日追記
ここ最近ではWAIPERでは当時モノのM47の販売がされておらず、
代わりにオリジナルのレプリカモデルが比較的安価で販売されていた。